Useful Information
初めてWebサイト運用をする方向けのこの連載。サイト改善のPDCAを1ステップずつ解説する「できる!サイト改善PDCA」の第3回は、Check編です。
第1回のPlan編では、アクセス解析でチェックするべき数値とCVRの設定について、第2回のDo編では初心者におすすめなSEO対策について解説しました。
第3回となる今回のテーマは「効果検証」。
これまでコツコツと書いてきた記事、“書いただけ”でほったらかしにしていませんか?
制作したコンテンツは、ツールを導入して分析し、課題や改善点をどんどん改善して、「結果が出る」サイトに成長させましょう!
今回はサイト運営初心者におすすめの効果検証の方法やツール、改善のためのヒントについて、お伝えします。
今回の本題「現状把握」に入る前に、現状把握するための材料であるコンテンツづくりに欠かせない「SEO対策」についてざっくりと説明しましょう。
SEOとは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで自社のサイトを多く表示させるための対策のこと。検索順位は検索エンジンのアルゴリズムによって評価されており、より評価の高いものが上位に表示される仕組みになっています。Googleは「すべてはユーザーのため」を基本理念に掲げていることもあり、SEO対策を施す際にはユーザーのためになるような記事・サイトづくりを意識することが大切です。
サイト運用初心者の方には、無理なく続けられるSEO対策がおすすめです。具体的には、目標キーワードの設定と、プラグインなどCMSの機能を活用したSEO対策。詳しいやり方は第2回の記事で解説 していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
インターネットで「SEO対策 おすすめ」などと検索すると、細かなテクニックを教えてくれるサイトが数多くヒットします。しかし、Google検索のアルゴリズムは数百もの要素があり、さらにその要素は毎日のようにアップデートされています。1つ1つの要素を対策するのは至難の技といえるため、初心者にはあまりおすすめできません。
「コンテンツを増やしたのにCVが上がらない…」その記事、“あのボタン”が抜けているかも!
サイト制作や運用でお困りのお客様をお手伝いしていると、「ちょっとした工夫でアクセス数が上がった」ケースに遭遇することも多くあります。そんな「あるある話」の1つをご紹介します。
“ターゲットの役に立つ記事を書いた! SEO対策もバッチリ! ワクワクしながらGoogleAnalyticsを開いたけど、CV数が全然上がっていない…。どうして?”
健康食品のECサイトを運用されており、コンテンツ制作に力を入れているお客様のケースです。コンテンツの内容に問題がなく、アクセス数も十分取れているのにCV数がどうしても上がらない、というご相談でした。
このような場合、肝心の「出口」が抜けている/わかりにくい可能性が考えられます。サイトを訪れるユーザーにとっての「出口」は、「お問い合わせ」「資料請求」「購入」などのコンバージョンです。ユーザーが迷うことなくサイト内で行動を起こしてもらえるよう、動線を整えることはとても重要なのです。
実際にこのお客様が新しく書いた記事を拝見すると、記事の最後にあるべき「商品へのリンク」がありませんでした。リンクを挿入する修正を加えたところ、無事にCV数が増えたと聞き、私たちもほっとしました。
お客さまからのアクセスを増やし、CV数を上げるためにはSEO対策を意識した記事を増やすことが大切です。
といっても、「ただ書くだけ」ではだめですし、やみくもに修正するのも、サイトが良い方向に改善されているか分からないので良くありません。現状をしっかり把握して、何が問題でどう改善すればいいか方針を決めて実行し、改善したら効果がキチンと出ているか、ひとつひとつ確認しながら進めていくことが大切です。
具体的には、この4ステップがサイト改善の基本となります。
この4つのサイクルをぐるぐると繰り返し行い、効果を測定しながら売り上げアップを図るのです。
サイト運用の最終的な目標は、「Webサイトで集客するための目標を達成すること」でしょう。そのためにはアクセス数を増やし、CV率を上げることの両方が必要不可欠です。Webサイトが、誰にどのくらい見られているか、見られているページとそうでないページはどこか、CV率が極端に低い場所はないか…など、サイトを訪れるユーザーの反応をアクセス解析で知ることができます。現状把握を定期的に行い、長いスパンで観察することで、サイト改善のヒントを得ることができるのです。
(Google Analytics:https://analytics.google.com/analytics/web/provision/?hl=ja#/provision)
まずはGoogle Analyticsでアクセス数の推移をチェックします。(Google Analyticsの使い方はこちら )
定期的なアクセス数のチェックは週に1回程度で問題ありません。新しくコンテンツを追加したり修正を加えた後は、1週間程度、検索順位が上がっているかどうか、確認しましょう。
(SEOチェキ!:https://seocheki.net)
検索順位を知りたい時や、サイトの基本的なSEO対策が取れているかどうか確認したい時に便利なのが「SEOチェキ!」。URLと任意のキーワードを入力することで、そのキーワードでの検索順位をチェックすることができます。
URLとキーワードを入れればすぐに使えるツールで、無料でも使える機能が豊富です。
「サイトSEOチェック」タブにURLを入力すると、サイトの基本的なSEOについて確認できます。
特にチェックしたいのが、「検索順位」と「インデックス数」です。
インデックス数とは、検索エンジンはWebサイトをクロールして、検索データベースに登録したページの総数のことです。わかりやすく言えばGoogleにサイトがどの程度認知されているかの目安で、インデックス数が多ければSEO的に良い影響があるといえます。
「検索順位チェック」タブでURLとキーワードを入れれば、検索順位を調べることができます。追加や更新したコンテンツのURLと、狙ったキーワードを入力して検索順位をチェックしましょう。競合サイトの分析にも活用できます。
(高評価:https://ko-hyo-ka.com)
基本的な機能は「SEOチェキ!」と共通していますが、すっきりまとまっていて見やすいのが「高評価」。基本的なSEO対策が取れているかどうか、確認する時に便利です。こちらも「SEOチェキ!」と同様に、調べたいページのURLと任意のキーワードを入力して使います。
「基本情報」を見れば、基本的なSEO対策が取れているかどうか一目で分かります。特に「タイトル」「ディスクリプション」は重要です。評価が「×」になっている項目があれば、その項目を改善しましょう。
「主題」では、各ページにキーワードがどのくらい含まれているかを確認できます。対策したいキーワードが上位3位までに入っているのがベストです。狙いたいキーワードが入っていなければ、コンテンツの内容を修正するなどの改善を行います。
アクセス数が上がらない原因は、SEOの基本設定から「アレ」が抜けていたから?!
店舗用の什器の導入をされているお客様 のケースです。“エリア内の競合他社よりも見栄えのする、内容の充実したサイトにリニューアルしたのに、アクセス数がリニューアル後も上がらない”というご相談でした。
サイトを拝見してみると、社長メッセージや社員紹介、お客様の声、フォトギャラリー…と確かに充実の内容。ぱっと見た印象では、「集客につながりそう」なサイトでした。
試しに「高評価」にトップページのURLを入れて調べてみたところ、なんと! SEOの基本情報である「タイトル」に、会社名が入っていなかったのです。
タイトルには、サービスの内容を一言で表現したものと会社名をセットで入れるのが定石。会社名が抜けていると、せっかく指名で検索してくれたユーザーを取りこぼしてしまいかねません。
さっそく会社名を入れたタイトルに修正したところ、無事に検索上位に表示されるようになり、サイトを見たお客様からの問い合わせ数もアップしたそうです。
(PageSpeed Insights:https://pagespeed.web.dev)
「最近、サイトが重くなった気がする」という時は、PageSpeed Insightsでページの表示速度をチェックしてみましょう。名前の通り、サイトの表示速度を計測してくれるGoogleのサービスです。URLを入力するだけで、ページの表示速度のスコア判定や、改善点を教えてくれます。
サイトの表示速度が極端に遅い場合、Googleのアルゴリズムによって検索順位が下がってしまう可能性があります。
そして何よりも、表示速度が遅いページはユーザーがストレスに感じてしまうため、離脱を起こします。せっかくコンテンツに力を入れても、ページの表示速度が遅いと、読まれなくなってしまうのです。
アクセス解析で「直帰率」が急に高くなった場合などは、表示速度について調べることをおすすめします。
検索順位は他のサイトとの相対評価で決まります。そのため、「競合がどんなサイトか」「どんな戦略でサイト運営をしているか」リサーチすることはとても大切です。競合サイトを分析することで、「競合他社にあって自社サイトにない情報は何か?」「競合にはない自社の強みは何か?」を把握し、自社のサイト戦略に役立てることができます。
競合サイト分析において気をつけるべきなのが、「競合とまったく同じ施策を打つことは得策ではない」ことです。複数の競合サイトの施策やコンテンツの内容を確認し、他社にはない自社の強みはなにか? を考えましょう。お客様が知りたいのは、競合他社との「違い」です。差別化できるポイントに絞って対策することで、競合に勝てるサイトに成長させるのです。
競合サイトの分析も、基本的な情報は現状把握に使う無料チェックツールを使って調べることができます。最低限、チェックしておきたい項目は「アクセス数」と「流入キーワード」です。また、競合サイトがどのような「タイトル」「ディスクリプション」を設定しているのか知ることは、自社サイトの戦略を立てるうえで大いに参考になります。
競合サイトのアクセス数が、自社と比べて多いのか・少ないのか把握します。自社サイトよりアクセス数が多いサイトにアクセスして、集客に成功している理由を探ってみることも大切です。SEO対策に力を入れているのか、または広告などの施策を行っているかどうかなど、広い視野で想像してみましょう。
ユーザーがどのキーワードで競合サイトにたどり着いているかを、分析ツールを使って確認します。競合サイトで最も検索回数が多いキーワードを参考にして、自社サイトのSEO対策を強化することも考えます。
競合サイトの基本的なSEO設定を分析ツールで確認し、どのようなタイトルやディスクリプションに設定しているかチェックします。競合他社がどのようなキーワードで対策しているのか知ることができますし、他社が採用していないキーワードで、なおかつ競争の少ないキーワードがあれば、検索上位を狙うことも可能になります。
サイト運用では、コンテンツを制作した後も分析と改善を忘れずに行うことが大切です。効果が出なかったら元に戻す、効果が出るポイントに絞って改善する、といったトライアンドエラーを繰り返し、「売れる」サイトに成長させていくのです。
実行と改善のサイクルは細かく・早くすることで、早く結果を出すことができます。ただし、大切なのは長期的に取り組むこと。サイトの規模や目標の売り上げに応じてスピードを調節し、無理なく続けられるペースをキープしましょう。
サイトの現状把握と競合分析の基本と、おすすめの無料ツールを紹介しました。
新しいコンテンツを作ったあとは、アクセス解析や現状把握を忘れずに行い、改善したあともチェックを続けることが大切です。無理なく続けられるペースでトライアンドエラーを繰り返し、「結果の出る」サイトに育てていきましょう!
次回の「Action編」では、サイトを改善するときに役立つテクニックをご紹介します。お楽しみに!